DSD DDC

一年間のご無沙汰でした!
この一年オーディオ関係で全く何もしていないわけではなかったが、特に記すほどのことでもないという感じであった。不満もあるがそれを解決するには大掛かりな手入れが必要になると感じていて、放置していたというのが近い。
ところが、戯れに今まであまりやる気にもならなかったPCM音源のDSD変換を試みたら、不満のかなりの部分が改善されることに驚いた。DSDネイティブの音源はそれほどたくさん持っていないので、そういうのを聴いて「DSDってのは音がいいんだなあ」と思っているだけで、PCMをわざわざ変換しても録音されていないものが再生されるわけでもないと思っていたのだが。アナログ再生の音はもともと気に入っていたので、どうやら PCM 音源を DAC で変換するという過程に、俺の気に入らない何かが入り込む余地があるのではないかと考えた。
となると、手持ちの多くの PCM 音源も、たとえば JRiver Media Center などで DSD にリアルタイムで変換すれば、PCM をアナログに変換するという過程を省略できる。つまり DAC がいらなくなるわけだ。USB からなんらかの DDC によって DSD 信号を取り出せば、 DSD はもともとアナログ信号だから、僅かなアナログ的方法で余計な信号を取り去ればそのまま聴けてしまう。そういう手法を採用してる人は既に多いので、真似してみることにした。
まず DDC だが、基板の形で売られているものがいくつかある。有名なのは Amanero Combo384 だが、バスパワーしかないことと俺自身の天邪鬼な性格で採用しないことにして、Emma Technology という中国のメーカーが eBay で売っている XMOS を使った怪しげなものを購入する。Combo384 より数千円安い。ここから簡単な CR の LPF とライントランスを介して音を出そうという寸法だ。ただこのままではゲインが足りないので、昇圧できるトランスを使うのが一般的かつスマートな方法だが、手持ちにはタムラの TBS-1 という 1:1 のものしかないから、この後に球で増幅段を組むというのが基本的な設計である。
電源トランスとケースは以前作った NOS DAC をバラしてそのまま流用する。9V をブリッジ整流してレギュレータで安定化して DDC に与える。増幅段は 12AU7 の一段+カソードフォロワで、NFでゲインを調整する。ということで作ってみて音は一発で出たが、NFが強すぎたか想定したよりだいぶゲインが低いのと、LPF を厳しくしたせいで高音に影響が出てたのでその辺を見なおした回路がこんな感じ。


DSD 再生で音が途切れる症状は W4S DAC-1LE よりはマシな感じで、心配していたポップノイズも再生の開始と終了時にしか気にならず、曲やプレイリストを飛ばしたりしても大丈夫。ただ、「サー」というホワイトノイズっぽいのが気になる。再生が止まっている時には出ないから球の増幅段の責任ではないので、これはなんとかしたい。音自体は好ましい。レコードを聴いている時の安心感に近いものがある。ので、ノイズの問題を解決しないとなあ。