実験君

この間の 6A3PP アンプの出力管を、実験的に曙光 300BS-B にしてみた。フィラメント電圧を調節し、整流管を 5V3 に変更して、出力段と位相反転段の辻褄が合うようにB電圧の抵抗をちょっといじったくらいで出力管を差し替える。出力段の動作点は Ep=345V、Ip=55mA、Eg=-70V というあたりで、これで出力は 12W ほど得られる。控えめな動作の 300B A級PP としてはこんなものだろうか。残留ノイズが 6A3 より明らかに多いが、成分としてはフィラメントハムで、まあ実用上は気にならないレベルなので放置。
音は 6A3 とはだいぶ違う。6A3 が割合クールでかっちりした音なのに対して、300BS-B はずっとたっぷりしたウエットな音だ。こういうややもすると響きの優った演出の入った音がこの球の特徴であるようにも思える。好みとしてはどちらもアリというところで一方に軍配を上げるのは難しいが、300B の方は電源トランスの定格に結構ギリギリなせいか若干唸る。このへんを考えると 6A3 に戻したほうが無難かもしらん。300B だとカソード抵抗の発熱も大きいし、モノラルの固定バイアスで改めて考えるべきだとも思える。