7984 シングルアンプ

大学祭で連休なので、表記アンプを作ってみた。
ポイントはコンパクトロンのビーム管である 7984 を三結で使うと、なかなか直線性がよくて素性がよさげなこと。データシートによるとスクリーンの耐圧は 250V だが、三結だとスクリーン電流はごく僅かなのでこれをある程度超えても問題はないはず。A級での動作はよく分からないので、グリッド抵抗をあまり大きくせず、かつ自己バイアスで安全方向に振る。プレート損失は CCS で 20W だからこれを大きく超えないようにする。ヒーターの定格は 13.5V だが、12.6V で大丈夫だろう。
で、回路図はこちら。

出力管がずんぐりむっくりのコンパクトロンでかわいらしいので、初段と整流管もコンパクトロンでまとめる。初段は双五極管の 6BN11 で、一方のユニットを三結にし、所謂 active load を用いる。SRPP の変形みたいな回路だが、ゲインが取れて出力インピーダンスも低いはず。整流管はダンパー管の 12BT3 を二本使った両波整流。外観はこんな感じだ。そこそこスマートにまとまったのではないか?

簡単に測定すると、出力は THD=5% で 7W だからなかなか立派。周波数特性を見ながら微分補正を調整して、仕上がりは 20Hz から 40kHz までほぼフラット。約 5dB の負帰還をかけて利得が約 27dB、残留ノイズは入力ショートで 0.3mV くらい、DF はほぼ4。音はというと、やや低域寄りだが結構透明感はあるし、決して雑でも安っぽくもない音がする。1本1000円くらいの出力管からこの出力と音質が得られるのだからコストパフォーマンスはかなり高いといえよう。仕上がりゲインに余裕はあるし、もうちょっと負帰還を強めにするとさらに締まりが出るだろうから、出音とのバランスで考えてみよう。