808

さて、811A のアンプを作ろうとかいろいろ言っていて、一方で Taylor T-40 の音がいいよなんて話を聞いて eBay で探したりもしていたのだが、気がついたらこいつを落札していた。

RCA の 808 である。ポジティブグリッドの送信管の中でも古典的かつ音質の評価の高い球で、この手の球の中では飛び抜けて高価だったりする。しかしそれでも中国製の 300B より安いくらいで手に入るのだから、へんな球はありがたい。なにしろこの形が蠱惑的すぎる。
こいつを買っちまったおかげで計画は大幅修正を強いられることになる。811A であればフィラメントは 6.3V だし、Ip も 70mA くらいでいけるのだが、808 の場合フィラメントは 7.5V、しかもプレートが赤熱するくらいのプレート損失で使わないとガスの吸着がうまく行かず寿命が縮まってしまうという。そうすると Ep=400V、Ip=100mA くらいはかけるべきだという話になる。
すると手持ちのトランスで使おうと思っていた James JS-6123HS では 90mA しか流せずいかにも心もとない。そこでふと思いついたのが、弐號機で使っている Hammond 1628SE なら 120mA まで流せるということである。これくらい大きなトランスだとさすがに新たに買うのは苦しいし、しかも USPS の船便が無くなってしまった所為で、こういう重いものをアメリカから買うのは今や現実的ではない。ということでこの OPT を弐號機から外して将来の 808 アンプに流用し、どうせ 70mA くらいしか流さない 300B 用に James を使うことにした。