届いたCD

BIS のシベリウス全集が届いた。他に注文していたのはペルト "Da Pacem" (ポール・ヒリヤー)とトゥール "Desert Island"。トゥールが予想を超えてよい。収録されている曲のうち Lighthouse は知っている曲だが他は初めて。特にギターが唸る Architectonics V が秀逸。さすが元 In Spe だけあって面白い曲を書くものである。クラシックとか現代音楽とかそういう枠組はほんとにどうでもいい。
ペルトはやはりヒリヤーだけにひたすらに美しく深遠。題材になっているのは旧約の詩編であったりアングリカン・チャーチの19世紀の司祭であったり様々だが、ヒリヤー自身がライナーノートに書いているように、あたかも枯山水の庭園の如き徹底的な虚飾の排除が禅的瞑想の領域に達している。こういう音楽が未だ生まれてこられることを幸運と思わねばなるまい。
シベリウスの方は単品で持っていないものから聴き始めているが(なにしろ15枚ある)、やはりヴァンスカ/ラハティ交響楽団はいい。しばしば誤解されることだが、シベリウススウェーデン系なので、フィンランド語教育を受けているにしても所謂フィン民族主義に与するものではない。政治的にはむしろ穏健な立場を貫いた人であって、あまりフィンランド的なものを見出そうとすると失敗する。ヴァンスカはむしろシベリウスの汎欧州的側面を積極的に見出そうとしているように感じられる。なんにせよ、この内容のディスクが15枚で9000円だったんだから素晴らしい。ブックレットもそれなりに充実してるぞ。