ECC88 の発振

EL32 アンプの初段を ECC88 に変更してご機嫌で聴いていたのだが、ボリューム最小と最大のところで微妙に発振している。球によって程度の差はあるが(たとえば松下の 6DJ8 はごく僅かにしか発振を聞き取れない)発振してることに変わりはない。gm の高い球なので発振しやすいという話は聞いていたけど、経験したのは初めてだ。このアンプでも急にこうなったというのは、何か微妙な取り回しの変更が影響したのだろう。配線の都合でソケットを片方180度回転させたからかな。
というわけで、グリッドに 7.5k の抵抗を直列に入れて事無きを得る。抵抗の数値に意味はなくて、手持ちでこれくらいの値が適当だろうと思われたものを突っ込んだだけ。なぜこれで発振が止まるのかも実はよく分からないのだが、そういうものであるらしいということが分かれば十分だろう。突き詰めれば、エンジニアリングってのは経験則の集積であって、結果が出れば十分なんである。
オレは子供のころから過程と理由にこだわり過ぎるきらいがあって、中学で幾何を学ぶとき、なぜこのような補助線が引けるのかを考え込んでしまい落ちこぼれた経験がある*1。初学者にそんなことは不要なのであって、まずそういうものだと覚えてしまえと数学者であった父に怒られた。ユークリッド以来連綿と蓄積されてきた知識の集積を中学一年生で理解しようというのはおこがましいと。理屈は知識を使えるようになってから考えろということだ。ものを作るということもそれに近いものがあるのだな。オレのようなド素人がいちいち理屈を考えていては先に進めない。

*1:まったくの余談だが、爾来数学はきわめて苦手で、大学受験のときにも入試直前の東大模試で数学の偏差値が38であった。それでも受かったのが少しだけ自慢である。