安い球

今サブではダイナコ改に Ei 6CA7 (コインベースの太球) を使っている。オーディオ用にはあまり評判が良くない球らしいのだがオレは好きである。へんな形だし。BOI Audioworks でマッチトクワッドを買ったのだが、これのいいところは短時間でびしっとバイアスが安定してそれっきり狂わないことである。露球ではなかなかこうはいかないし、古い Mullard では望むべくもない。松下の新品であればおそらく大丈夫だろうが、厳密なペアマッチは今やまず手に入らないだろう。ダイナコは何しろ固定バイアスとはいえ片チャンネルの二本まとめてしかバイアス調整ができないので、マッチングがきちんと取れていることが不可欠なのである。
こういう事を考えると、高価なビンテージ球より安くて供給が潤沢な東欧や中国の球を使う方が結果がいいことが多そうである。くたびれた球の音を味わいとか渋味とか勘違いしてる自称マニアも多いのではないか。最近の球アンプは球の寿命に配慮とかなんとかいって、定格を遥かに下回るプレート電圧しかかけてないようなものもあるみたいだけど、こういう古いアンプは球を消耗品と考えて高い電圧をかけているものが多い。Citation II なんかはその代表例だろう。もちろんそれはアンプ全体の設計のごく一部でしかないけれど、古いアンプの音のよさに貢献している側面は大いにあると思う。
なにしろ4本5,000円くらいの球だから、ダメになれば(といってもそうそうダメになるものでもないが)交換するとしてもそんなに痛くないし、交換の際にはまたきちんとマッチングの取れた新品を入手できる。所詮電気部品なのだから、所期の性能を発揮できることが大前提である。その範囲で球による違いを楽しみ、好みの音を探す遊びも成り立つというわけだ。