物欲ということ

nOrh Classic 7.0 はほんとにいい感じでとても気に入っている。まだウーファーが本領を発揮しているとは言いがたいが、全体的な音色や表現の仕方はとてもいい。もともと 211 シングルで鳴らしている客の特注から始まったというだけあってか、805 もしくは 845 のアンプで鳴らすのにも向いているのかもしれない。買える値段でこれよりいいスピーカーを探すことは相当難しいだろう。
また樽スピーカーも物凄くいい。少し高いといえば高いが、この小ささから来る扱いやすさと出てくる音を考えると納得してしまう。敢えてこの両者に共通点を探すならば、素姓のいいユニットをいい素材を使ってコストのかかったエンクロージャに入れていることと、サイズや価格の割にアンプを食うことだろうか。nOrh はいうまでもないが、樽スピーカーですら職場から持って帰ってきた TU-879R で鳴らしたらてんでダメだった。せっかくの豊かな低音と響きがどっかに行ってしまってへんにしゃかしゃかしてしまう。箱を鳴らしきれていない感じだ。というわけでサブにはやや大袈裟かと思いつつも Ella を使い続けることにしたのだが、たとえば Norman のところで売っている Bole の 300B シングルなんて、結構しっかりした感じなのに送料入れても5万円台だなあなんて考えちゃうわけである。
こういう場合の物欲は、Ella に不満があって、もっといい音があるはずだという上昇志向から来るものではない。単純に興味の問題で、どんな音がするのだろうという好奇心による。オレの物欲は何でもそうで、上よりは横に向かうというか、ぐるぐる同じところを回り続けるというか、そんな感じだ。スピーカーにしても、nOrh はとても気に入っているけれど、id:Waldstimme さんのところで話題になったフォスのユニットをしっかりした大きめのバスレフ箱に入れたスピーカー (これ) が気になったりする。同じ箱で Lowther のもあって、日本での Lowther のユニットの値段を考えるとそっちの方がお買い得かもしれないが、こういうのを質のいい古典球のアンプで鳴らしてみたいと思ったりもするわけである。そっちの方がいいだろうからではなく (結果として今聴いているアンプとスピーカーを蹴散らす可能性もあるけれど) 聴いてみたい、使ってみたいという興味による。上の話とのつながりで言えば、Fostex のユニットをしっかりした手の込んだ箱に入れることでどうなるんだろう、ってな感じだな。どうもフォスというと安っちい合板で複雑怪奇なホーンを構築して入れるとかいった感じの使い方をされるが、それ以外の使い方でもしびっくりするようなパフォーマンスを発揮するなら面白いではないか、ってことだ。
つうことでオレの頭の中には「面白そうだから」というでこちんみたいな理由からくる物欲が渦巻いているし、その結果として部屋には様々なものが溢れ返っている。コジャレたハイエンダーになれる日はこないな、これじゃ。