Axiom を聴き込む

時間がとれたので、Axiom M3ti をメインのシステムにつないでじっくり聴き込んでみた。いちおうメインシステムを改めて羅列しておく。

  • CDP (CDT): Cayin CDP-8HT
  • DAC: Xindak DAC-3
  • Pre: Counterpoint SA-3
  • Power: MeiXing MC805-AA
  • Instrument Cables: Xindak AC-2, AudioQuest Coral
  • Speaker Cables: Xindak FS-1

という感じで、いつもはスピーカーが Aurum Cantus Music Goddess であるところに Axiom M3ti をつないでみたわけである。場所がないので Music Goddess の上に置いたから、ちょっと位置としては高すぎるのが難点だが。
で結果なのだが、少なからずショックを受けている。もちろんサイズの限界があるから重低音は無理だし、重低音の上の範囲の低音、たとえばベースラインやバスドラも軽くなってしまうのだけれど、それより上の帯域が物凄くいいのである。ヴォーカルはクリアで、所謂サ行のヒステリックな付帯音はほとんどない。明るく伸びやかな音で、楽器の音がちゃんとそれぞれの楽器の音にきこえる。
特に驚いたのは、やや古い録音のラフマニノフ・ピアノ協奏曲二番 (ピアノがアシュケナージ、指揮はコンドラーシンでモスクワフィル) を聴いた時で、ピアノの音がとても自然で、オーケストラもちゃんとスケール感が表現できているのである。音場が広くてすっと広がる余韻みたいなものがちゃんと聞き取れる。なにより、やや暖色系の音なので、解像度は十分だけれどそれぞれの楽器がうまいことミックスされて、ゆったりと聴けるのである。まるで疲れない。線の細いモニターライクな音よりもこういう柔らかめの音の方が好きなので (Music Goddess も見かけの割に暖かい音なので気に入ってるわけだが) とてもオレの好みに合う。
よく聴くと高音にちょっとチンチンした感触はあるのだが、そのちょっとだけ高音が協調されているところが音場の広さや雰囲気の表現に寄与しているところもあるので一概に欠点とはいえない。帯域のつながりがナチュラルで (Aurum は実はそこにちょっと弱点がある) 無理して欲張っていないから、おいしい帯域はほんとにおいしい。
色々聴いてみたけど、ジャンルとしてはクラシックに向いてるかもしれない。低音の出てる帯域でもややタイトさは欠けて、ちょっと膨らんだ感じがある一方で、弦の音はとても自然だから。
つうことで、これはもうお買い得とかいうレベルではない。なにしろいちばん大きなトールボーイでも $1100 で、仕上げがやや安っぽいのが気になるのであれば $95 でもっと高級な仕上げにできるし、$350 出せば Coutour の高い奴みたいなバーズアイメイプルの分厚いつき板にもできる。オレの M3ti なんて、定価 $275 で送料入れても $300 だよ。しかもサービスはきちんとしていて、注文してから三日で何の問題もなく届いた。もっと高価なものを売るメーカーでも、直販はやたら待たされたり予告もなく突然届いたり、メールを送っても梨のつぶてだったりということがよくあるが、Axiom はそういう問題がまるでない。ちなみにオレの注文に応対してくれたのは社長の奥さんらしい。
中国のスピーカーが、高級なユニットをしっかりした箱に入れたオーソドックスなハイエンドのお買い得路線であるとすれば、Axiom は決して高価ではないユニットをうまく設計された箱に入れて音作りのセンスで売るお買い得スピーカーだ。まったく違う考え方で、結果としてどちらも音がよくて安いという成果を得ている。両方を所有することができたのは幸運だったな。つうことで Music Goddess の上の Axiom M3ti。