6528PP

色々考えて 6528 アンプをコンベンショナルな Push-pull で組み直すことにしたことは書いた。それで正月休みに一気に配線した。回路はこちら。

個人的には所謂 Mullard 型の位相反転が好きなのだが、シャーシに新しい穴を開けることが諸般の事情でできないため、6AN8 を使ってPK分割にする。幸い 6528 はバイアスがあまり深くないので計算上は十分に励振できるはず。あまり6528 の Ep を高くするとバイアスが深くなって厳しくなるのでこのへんが妥当なところではないかと。
それから今まで整流管を使っていたソケットが空くので、賑やかしに定電圧放電管を使って初段のスクリーングリッドを安定化する。視覚的にアクセントになるだろう。
そんなわけで完成。

出力は予想より少なめで THD=5% で 16W ほど。失敗したのは初段のゲインが高すぎ、裸利得が 40dB くらいあること。負帰還をかけて 30dB くらいにしたがまだ高い。ノイズが多いとか使いにくいといった弊害が出るほどではないが、電源の簡素化とドリフト防止のために初段と位相反転段の間にデカップリングを行なっていないので電圧の配分が難しく、初段の負荷抵抗が大きすぎたな。もっと gm の低い球を使う手もあるが、この種の複合管の五極部はだいたいそれなりに gm が高いのであまり候補はない。これでいいか。
周波数特性は負帰還をかけたあとで 10Hz 以下から上は 80kHz 位まで伸びている。50kHz くらいに小さな山があるので若干微分補正をかけた(回路図にはない)。これくらいでほぼフラットだから OPT が優秀なのだな。出力管の内部抵抗が低い上に多めに負帰還をかけたお陰で DF は8くらいある。残留ノイズは測定系が外部雑音を拾ってしまうようでうまく測れないが、D123 に耳をつけて若干「さー」」と聞こえる程度で耳につくハムはないのでよしとしよう。
音質的には、抑制の効いた端正系になるかとおもいきや案外元気な音で、情報量が少ないわけではないが塊っぽく前に出てくる感じ。これが利得の大きさが原因か。もうちょっと色々聴いてみよう。